
そんな中で、世界で2000万~5000万人の死者を出
したとされる1910年代末のスペイン風邪のウイルスの遺
伝子が、鳥インフルエンザのウイルスとよく似ており、アジ
アで流行中のH5N1型ウイルスとも共通性が高いことが、
科学者によって発表され(英科学誌『Nature』10月6日、
米科学誌『Science』同7日号)。
つまり、鳥のウイルスが突然変異によって人間のウイルス
に変化したことにより、過去において実際に大惨事が起こっ
た可能性が浮き彫りにされているのだ。
10月8~9日付の『へラルド朝日』紙によると、これ
に対処するための薬としては現在、経口薬「タミフル」
(Tamiflu) と吸引式の「リレンザ」(Relenza) の2種が
有力視されている。これらは、通常のインフルエンザの治療
薬として開発されたものだが、H5N1型の治療にもある程
度有効と考えられている。このタミフルの売り上げは、今年
の前半6カ月で、昨年同時期の4倍に当る4億5000万
ドルに達している。